マスク生活が長らく続き、人前で笑ったり、喋ったりする機会が少ないと、お口のお手入れをおろそかにしていませんか?
近い将来、必ず来る “マスクを外して人と会う日常” に備えて、歯をきれいに、そして白くしておきたいものです。
一般に歯を白くする方法として知られているのは、クリーニングやホワイトニングではないでしょうか。歯のクリーニングは、歯科医院で専用の器具を使って歯石の除去や歯面清掃を行うものです。汚れが取れることで歯が白く見えることがありますが、白くすることが目的というよりは、あくまで虫歯や歯周病予防、口臭予防につながる診療です。
一方ホワイトニングは、薬液(漂白剤)と道具を使って科学的に歯を白くする方法です。ひと口にホワイトニングといってもいくつか種類があり、大きく3つに分類されます。だれが、どこでホワイトニングを行うのか、歯のどの部分にはたらきかけるのか……歯のなかの構造を知っておくと違いが分かりやすくなります。
私たちの歯は三層構造になっています。外側が透過性の高いエナメル質、真ん中が黄色みがかった象牙質、そして内側が歯の神経組織である歯髄です。エナメル質は半透明のため、すぐ内側のクリーム色の象牙質の色が透けて見えています。天然の歯が真っ白でないのはこのためで、エナメル質の透過性は個人差もあり遺伝も関係しています。また、加齢に伴ってエナメル質が薄くなったり、代謝の低下で象牙質の色が濃くなったりするとも言われており、ホワイトニングの効果や持続性についても個人差があるのです。
ホワイトニングの代表格といっても過言ではない、歯医者さんで行うものがオフィスホワイトニングです。濃度20~35%程度の過酸化水素を含んだホワイトニング剤を歯に塗布し、LEDやレーザー、ハロゲンライトなどの光や熱を与えることで化学反応を起こし、歯に沈着した色素を無色透明にする方法です。歯の一番外側のエナメル質にはたらきかけるため、短時間で効果が得られるのが特徴です。施術時間は1時間程度と短く、一度で4~6段階白さがアップし、プロによる施術は安心感があります。一方で、濃度の高い薬剤が染みることやエナメル質は色素沈着しやすく、特に施術直後は着色しやすくなるというデメリットも。白い歯が長続きしない点には注意が必要です。また、1回で理想の色にはならず、白さが安定するまで数回通院しなければなりません。
ホームホワイトニングは、歯医者さんの指導のもと自宅で自分で行う方法です。まずは歯医者さんで自分の口腔内に合わせて歯を覆いかぶせるトレー(マウスピース)を作成します。できあがったトレーを持ち帰り、自宅で濃度10~25%程度の過酸化尿素もしくは低濃度の過酸化水素を含むホワイトニング剤をトレーに注入して装着するだけ。その後は自宅で手軽にケアすることができます。エナメル質より奥の象牙質にはたらきかけるため効果が出るまでに時間がかかり、個人差はありますが約2カ月間、毎日続けると1段階白くなります。刺激が少なく染みにくい反面、目に見えて効果がわかるには半年から1年かかることも。しかし、オフィスホワイトニングと比べると色の後戻りが遅く、自分好みの色になるまで続けることが可能です。
デュアルホワイトニングは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する方法です。エナメル質、象牙質の双方にはたらきかけるため、よりホワイトニングの効果が得やすく、また色の持続性にも期待が持てます。これはホワイトニング全般にいえることですが、保険適用外の自費診療にあたるため、もともと費用が高いところに「デュアル」となるとさらに費用がかさむことは否めません。また、薬剤も併用となるため、染みやすかったり痛みがでやすかったりすることも覚えておきましょう。
いずれのホワイトニングも歯の表面を覆っている薄い膜が剥がれやすい状態になり、色素沈着には注意が必要です。ポリフェノールを含む赤ワインやチョコレート、飲み物ならコーヒーやお茶、さらに色の濃いカレーやケチャップ、ソース系などの食べ物、嗜好品にも気を遣わなければなりません。
ホワイトニングはそもそも天然の歯に行う方法。歯を白くするのには限界があります。より白さを求める人、すでに銀歯など補綴物がある人は、歯自体を白いものに変えて白く見せる方法もあります。
強度があり審美性にも優れたジルコニア。金属を使用していないため体にやさしく、劣化しにくいのが特徴です。汚れが落ちやすく、清潔に保つことができます。
“ニケイ酸リチウムガラス”という、ガラス系の素材でつくられた白い歯。ジルコニアと比較すると強度面ではやや劣りますが、美しさは同等レベルです。
歯科用のレジン(プラスチック)と陶器を混ぜた被せもの。柔軟性があり噛み合う歯へのダメージが少ないですが、長く使用しているとニオイや変色の恐れがあります。
マスクを外したときに白く美しい歯を目指して、ご自身にあった「歯を白く見せる方法」を選んでみてください。どの方法を選んだら良いかわからない方は、かかりつけの歯医者さんへ相談してみましょう。