寝るときに入れ歯を外すべきか否か、迷ったことはありませんか?
実は、これには明確な答えがありません。
つけたまま就寝すること、外して就寝すること、それぞれにメリットとデメリットがあるため、歯医者さんによっても考え方が異なります。
つけたまま寝ると、夜間に歯列が動いてしまうことを防げたり、口呼吸になりづらくなるといったメリットがある一方、睡眠時に唾液の分泌量が減ることにより、細菌が繁殖しやすくなります。また、小さな部分入れ歯の場合、外れて誤飲してしまう可能性もあります。
患者様ひとりひとりに対して適切な方法は違うので、入れ歯を処方してもらった歯医者さんの指導に従っていただくことが大切です。どういった場合にどのような指導をされることが多いのか、いくつかのケースをご紹介したいと思います。
総入れ歯の場合、入れ歯がないと咬合高径(それぞれの患者様特有の上下の顎の位置)を一定に保つことができず、それによって顎関節症などを引き起こすことがあります。
また、私たちは眠っているとき、無意識に奥歯を噛み締めたり、歯ぎしりをしてしまうことがあります。残っている歯が少ないと、そうしたときに口の中を傷つけてしまいかねません。 このような患者様は入れ歯をしたまま寝る方がお口にとって優しいため、夜間も入れ歯をつけておくことをすすめられる場合が多いようです。
歯ぎしりや食いしばりが特に強い方の場合、入れ歯をしないで寝ることで、口の中を傷つけてしまうことがあります。また、歯のあるところとないところで、食いしばったときの圧力のかかり方が違うために、歯並びが崩れてしまう恐れがあります。歯並びが変わってしまうと、せっかく作った入れ歯が合わなくなることもあります。 入れ歯をしていれば、夜間も普段通りの歯列を維持できるため、こういった問題を防止することに繋がります。
残っている歯が多く噛み合わせが安定している場合は、入れ歯を外しても歯並びに影響がでてしまう心配が少ないため、睡眠時は外すように指導する歯医者さんが多いようです。そうすることで、夜間に歯肉を休ませることができますし、入れ歯の誤飲を防ぐこともできます。
入れ歯をしたまま寝ることがすすめられる方の場合でも、入れ歯をつけたままでは違和感があって眠れないという患者様には、外して寝るよう指導されることもあります。
つけたまま寝る場合でも、外して寝る場合でも、入れ歯は清潔に保つことが大切です。就寝時につけたままにする場合も、一日に一度は外して洗浄することは忘れないようにしてください。
入れ歯は大切な身体の一部として使用するものです。分からないことや不安な点は通っている歯医者さんに相談していただき、安心して入れ歯を使えるといいですね。