現在、日本の人口はおよそ1億2427万人、入れ歯の人口は2890万人と言われています。
つまり、計算上は4人に1人が入れ歯を使用している計算になります。
今回は、入れ歯を使用している方の多くが悩んでいるという、保管方法についてお話ししていきたいと思います。
そもそも入れ歯には保管方法は2種類あります。
それは、水中保管と洗浄液中保管です。
水中保管とは、入れ歯を水道水に漬けた状態で保管することです。
洗浄液中保管とは、洗浄剤を溶かした水溶液に入れ歯を漬けた状態で保管をすることです。
いずれにしても入れ歯を保管する際には液体の中に浸した状態で保管することが大切です。
これは、入れ歯が歯科用材料の“レジン”というプラスチックで作られており、乾燥してしまうと割れやすくなってしまう性質があるためです。そもそも入れ歯は口腔内に装着して使用する為に作られているので、適度な湿気が必要なのです。
入れ歯の材料にレジン(=医療用のプラスチック)を使用しています。
乾燥すると亀裂が起きたり、割れやすくなります。使用した後は適切な洗浄を行い、お水や洗浄剤を溶かした洗浄液に漬けておきましょう。
保険義歯と同じ材料を使用している場合もありますが、保険義歯よりも吸水性が低く壊れにくいものもあります。
壊れにくいタイプの場合は、乾燥保管(液体に漬けず、そのまま置いて保管すること)でもほとんど問題ありませんが、多くの患者さんは入れ歯を見ただけで材料の判断をすることは難しいと思います。
そこで、入れ歯をお使いの方はかかりつけの歯科医院で保管の方法を確認するか、わからない場合には洗浄をしてからお水の中で保管しましょう。
まず、液体の中から入れ歯を取りだします。
洗浄剤に記されている、洗浄時間を大きく超えている場合は再度、洗浄を行います。
これはお水の中で雑菌が繁殖し、入れ歯に付着している可能性があるからです。
洗浄を行ったら流水下で入れ歯についた洗浄液をよく洗い流して下さい。
このとき、食器を洗うように、表面についたぬめりを優しく、しっかり水道水で流すのがポイントです。
(入れ歯の煮沸消毒は絶対におやめください。熱湯に入れ歯を入れてしまうと変形する恐れがあります。)
入れ歯全体を水で洗い流したら、清潔な手で装着してください。
装着時に、長らく使用していないと入れ歯が合わなくなっていることがあります。
これは入れ歯が変化した可能性も考えられますが、多くの場合は患者さんのお口の中が変化したことによるものです。
強い違和感を感じた場合には、無理に装着しようとはせず、歯科医院でお口の中を診てもらいましょう。
寝る時の入れ歯着用に関してはよく患者さんから尋ねられることがあります。
実は、寝ている時に入れ歯をしたままのほうが良いのか、外して寝るほうが良いのかについては正解がありません。
これは、患者さんの口腔内の状態によって、入れ歯をしたまま寝た方が良い場合と、外してから寝た方が良い場合があるためです。
また、歯科医の治療の考え方によっても意見は様々ございます。
そこで、三和デンタルではあくまでも、多くの先生方からお聞きした情報をもとに、多く寄せられた意見をまとめてみました。
■多くの歯を失っている方・・・残っている歯が少ない場合、寝ている間に強く噛んでしまうと、口の中を傷付けてしまう恐れがあります。このような患者さんは、歯肉を守る為に入れ歯をして寝ることをすすめられる場合が多いようです。
■歯ぎしりのある方・・・歯ぎしりの強い方が入れ歯をしないで寝ると、無意識に歯肉をこすり合わせてしまいます。入れ歯をしていれば、入れ歯同士がぶつかるだけで済むので、歯肉を傷つける心配を軽減できます。
【入れ歯を外して寝ることをすすめる患者さんの例】
■入れ歯の歯の本数が少ない方・・・ほとんど歯が残っている場合、噛み合わせが安定しているので、睡眠時は外すように指示されることが多いようです。そうすることで、普段入れ歯に触れている歯肉を休ませることが出来ますし、入れ歯の誤飲を防ぐこともできます。
■入れ歯の違和感で眠れない方・・・上記に入れ歯をしたまま寝る患者さんの一例を記載しましたが、それでも眠れない患者さんの場合は外して寝ることもすすめられるケースがあります。歯肉や残存歯(残っている歯)を守る為に入れ歯を装着して寝ても、違和感が強くて眠れなくては健康的ではありません。そんな場合は無理して装着せず、外して休みましょう
(文:広田)