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2021年01月26日入れ歯の正しい洗い方を実施して口腔環境を清潔に保つには?(その1)

細菌の繁殖を予防する

口腔内にいる細菌の数は実に大人の口の中で、300〜700種類が生息しているといわれます。よく磨けている人の口の中でも1000億~2000億個。あまり磨かない人、磨けていない人には4000億~6000億個。さらにほとんど磨かない人には1兆個もの細菌が。加えて、入れ歯を装着している人は、装着していない人に比べてある細菌の数が2.5倍多いと言われています。口腔内の細菌が繁殖すると、思わぬ病気を引き起こす原因となるのです。口腔内の細菌の繁殖を予防するには、常に清潔に保つことが大切です。

細菌の繁殖を予防するためには、日々の手入れが欠かせません。食事をすると入れ歯に食べかすが付着するため、できれば食後は毎回、入れ歯を外して清掃しましょう。食べ物のカスが少しでも残っていると細菌が繁殖しやすくなるため、丁寧に洗うことが大切です。タバコを吸う方はヤニ、ワインが好きな方はポリフェノール、お茶やコーヒーなど無糖の飲み物でもカフェインが入っているものや、カレーに使用されている黄色色素(クルクミン)は、入れ歯や残っている歯の着色の原因にもなり、そこに細菌は付着します。すぐに磨くことが出来なければ、最後に水を飲んで、口腔内の汚れを流しましょう。

就寝時には総入れ歯、部分入れ歯問わず、入れ歯を外し、入れ歯専用の歯ブラシで磨き、清潔に保ってください。入れ歯用洗浄剤による殺菌も効果的です。最後は乾燥と細菌繁殖防止のために、水や入れ歯用洗浄剤に浸しておくことをお勧めします。

もちろん入れ歯ばかりではなく、残っている歯もきちんと磨くことも大切です。クラスプがかかっている歯は特に食べかすが溜まりやすいので、しっかり磨くようにしましょう。日中入れ歯によって、歯茎は圧迫され続けているので、歯茎の血行が悪くなります。歯茎の手入れも忘れずに行うと、口腔内の粘膜が回復し、細菌予防にもつながります。できる限り細菌を増やさないことを心掛けてください。

ヤニなどの着色を防ぐ

タバコは燃えるときにヤニ(タール)を発生させます。このタールが歯を黄色くする原因です。ヤニは着色以外にも、接着剤のようなネバネバした特性を持っているので、色素成分だけでなく、食べ物のカスなどを吸着させるのです。またワインに含まれるポリフェノールや、お茶やコーヒーなどに含まれるカフェイン以外にも、ミートソースやカレーなど色の濃い食品や、食品に含まれる合成着色料などでも、着色や変色する恐れがあります。入れ歯も普通の歯と同様に黄色くなっていくのです。特にタバコを吸われる方は、吸わない方に比べて入れ歯に汚れや臭いがつきやすくなります。見た目の美しさを保つには、自分自身で毎日お手入れすることが、とても大切になってきます。

着色の予防方法としては、長時間に渡り口腔内に物を入れておかないこと、タバコを吸った後や食事後にはうがいをすることです。食事に限らず、お茶やコーヒーを飲んだ後や、飴やチョコレートなど、何かを食べた後もうがいをするだけで着色は防げます。口腔内をそのままにしてしまうと、汚れや着色の元となる成分が残ってしまうのです。市販の洗口液も効果的ですが、普通の水だけでも効果はあります。うがいが出来ないのであれば、水を飲むだけでも口腔内をリセットできます。また唾液も口腔内をきれいにしてくれます。キシリトール配合のガムを噛むことは、唾液の分泌を促すので効果的です。そして就寝前にはしっかり入れ歯を磨き、洗浄剤などを使用して一日の汚れや着色を落としてください。日々のケアを行うことが着色防止にはとても効果的なのです。

それでもタバコによるヤニは、除去するのが困難です。一生懸命ブラシで磨いても逆に入れ歯に傷をつけてしまいます。汚れがあまりにも気になるようであれば、かかりつけの歯科医院で専門的な方法でホワイトニングをしたり、定期的に入れ歯を洗浄してもらうことをお勧めします。

入れ歯の汚れが原因でなる病気

入れ歯の汚れが原因でなる病気のひとつに、「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」が挙げられます。ニュースなどでもお聞きになられると思いますが高齢者の方に多い病気です。飲み込む力が弱くなり、食べ物を飲み込んだ際に、一緒に細菌を飲んでしまい細菌が肺に達してしまうのです。入れ歯をちゃんと洗わないと虫歯菌や細菌などが繁殖します。この唾液中の細菌が気管支や肺に流れ込んで生じるのが、誤嚥性肺炎です。近年、肺炎は日本の65歳以上の方の死亡原因の第1位に挙げられていて、気をつけなければいけない病気です。特に高齢者は熱が出にくく、肺炎にかかっていることが分かりにくいので注意が必要です。

入れ歯の汚れが溜まってくると「義歯性口内炎」にもなりやすくなってしまいます。免疫力が低下している場合などは、歯茎に炎症が起き腫れたり、痛みを伴ったりします。歯茎に炎症が起きると入れ歯が合わなくなり噛み合わせがずれることによってバランスの良い食事が摂れなくなってしまいます。栄養が偏ってしまうと骨粗しょう症にもなってしまうのです。

入れ歯を装着した高齢者の方で、寝たきりの方に特に多く見られるのが「口腔カンジダ症」です。カンジダと言う真菌による感染症で、口腔カンジダ症になるとヒリヒリとした痛みや口角が切れるなど、舌や粘膜に異常が現れます。カンジダ菌は免疫力の低下により抵抗力のない高齢者や病気などで体力が衰えた方は、気管支や肺、心臓などに感染するなど重症化する恐れがあるので特に注意が必要です。

入れ歯の手入れが行き届かず汚れてしまうと、口腔内の細菌は増加し続け、様々な病気や症状を引き起こします。入れ歯だけではなく口腔内を清潔に保つことは、健康な身体を保つためにも大切なことです。

入れ歯の基本的な洗い方

入れ歯の洗浄は面倒に思えますが、そんなに大変なことではありません。歯を磨く時に一緒に行えば、無理なく行えます。普通の歯磨きと同様に入れ歯を専用の歯ブラシで磨いて洗い流し、乾燥しないように保存するだけです。入れ歯が汚れていると、細菌によって口臭もひどくなります。細菌が繁殖することで、免疫力が下がり肺炎などの身体的な病気や歯周病にかかります。残っている歯にも影響を与えてしまうのです。日々の手入れ次第で入れ歯は長持ちします。口腔内環境をきれいに保ち自身の健康を守るためにも、入れ歯の手入れはとても重要です。

(1)入れ歯を外す

普通の歯を磨く歯ブラシと歯磨き粉は入れ歯に細かい傷をつけ、その傷に細菌が付着してしまうので、必ず入れ歯は外してから入れ歯専用歯ブラシと専用歯磨き粉を使ってください。

入れ歯を外したときには、口腔内に異常が無いかチェックをします。入れ歯が合っていないために炎症を起こしていたり、装着時には気が付かなかった歯茎の腫れや、粘膜に異常があるかもしれません。また、入れ歯を外すことは日中に負担がかかっていた歯茎を休ませることにもなります。

入れ歯はとても破損しやすいものです。入れ歯を外す際には取り扱いには十分に注意してください。入れ歯を洗う前には、予め洗面器やプラスチックなどの容器を用意し、そこに水を張りその上で洗浄すれば、万が一落としたときにも安心です。落としてしまうと金属部分にも歪みなどが出てきます。落下防止や誤って排水溝に流さないためにも、容器を置くことをお勧めします。

(2)入れ歯を水で流す

入れ歯はいきなり歯ブラシで洗うと、表面に付着している大きな食べ物のカスなどで、傷がついてしまう可能性があります。まず表面についた食べ物のカスや大きな汚れ、ヌメリを水やぬるま湯で洗い流します。ヌメリはスベるため、入れ歯を落としやすいので注意しながら行いましょう。作業する際には必ず洗面器などに水を張って行います。またヌメリは細菌が付着したものなので、できる限り洗い流してください。その際には入れ歯が傷つかないように、指の腹で優しくこすって洗い流します。入れ歯は強い力を加えると変形する恐れがあるので、取扱いには十分に気をつけてください。

水で洗い流すときには、入れ歯に傷がついていないか、破損している部分はないかなどの確認をします。万が一に傷がついていた場合などは、そのまま使用せずに歯科医院に持参しましょう。そのまま使用すると、細菌が付着しやすくなったり、歯茎や口腔内に傷がつき、腫れなどの炎症を起こすかもしれません。少しの傷だから大丈夫と思わずに、医師に相談してください。

また水で流してもなかなか落ちない、歯ブラシを使っても落ちそうにないしつこい汚れがあった場合は、歯ブラシで磨く前に汚れを分解する洗浄剤に浸しておくと、ブラッシングをするときに楽に汚れを落とすことができます。水洗いのときには、なるべく細かく入れ歯のチェックをすることが大切です。

(3)入れ歯を入れ歯用歯ブラシで磨く

入れ歯は入れ歯専用のブラシで磨きます。健康な歯を磨く歯ブラシは入れ歯を傷つけるので、使用しないでほうが良いでしょう。あまり強い力を加えずに、優しく丁寧に磨くことを心がけてください。入れ歯の素材やクラスプ(金具)部分は強度の強いものではありません。あまり強い力を加えると、歪んでしまうかもしれませんので注意して洗います。また入れ歯専用の歯磨き粉も販売されていますので、専用歯ブラシと併用するのもお勧めです。

普通の歯磨き粉は研磨剤が入っているため、入れ歯を傷つけてしまう可能性があるので不向きです。入れ歯に傷がつくと細菌が付着し、病気や歯周病などに感染してしまう可能性が出てきます。

細かな汚れは水を流しながら、入れ歯専用歯ブラシを使って丁寧に掃除します。入れ歯の外側や内側など食べ物のカスなどが溜まりやすいところは、より丁寧に洗っていきます。特にクラスプには汚れがたまりやすく、歯石になりやすいので注意が必要です。落ちにくい汚れは、ぬるま湯にしばらく浸けてから洗うか、洗浄剤を使用して汚れを浮かせてから洗うと、きれいに落ちます。ただし、熱いお湯は入れ歯を変形させてしまうかもしれませんのでご注意ください。

超音波洗浄器があれば、ブラシでは磨ききれない部分も超音波が洗浄液を振動させて汚れを浮かしてくれるので便利です。入れ歯によっては凹んだ部分や細かく複雑な部分もあるので、汚れが溜まりそうなところはしっかりと磨き、汚れを残さないようにしましょう。入れ歯も普通の歯のように歯石になってしまうこともあり、そうなってしまうと歯科医院で削り取ってもらうことになります。

(4)入れ歯用洗浄剤につける

入れ歯を洗い終わった後は、入れ歯用洗浄剤を使用します。入れ歯洗浄剤の説明書に書いてある通りの手順で、水やぬるま湯に溶かして洗浄液を作り、入れ歯が全体的に洗浄液にかぶるように、しっかりと浸します。ブラシで磨いていても、水で洗い流しても、残念ながら細菌は残っています。細菌が残り蓄積されると、「デンチャープラーク」と呼ばれる歯垢が入れ歯にも溜まります。歯石は細菌の塊なので、少しの細菌も残さないためにも洗浄剤に浸して除菌・殺菌を行いましょう。

洗浄剤の除菌・殺菌するタイプの他にも、消臭効果のあるものや、タバコやお茶による黄ばみなどの着色に対してホワイトニング効果があるものなど、様々な種類の入れ歯用洗浄剤が販売されています。酵素で分解し汚れを浮かせて取るタイプの洗浄剤もあるので、自身の目的に合わせて使い分け、日々の手入れに定期的に取り入れて快適な口腔内環境を手に入れましょう。洗浄剤は製品によって適切な水温や浸す時間などが変わってきます。しっかりと説明書を読んでから、使用するようにしてください。(参考:入れ歯洗浄の選び方

浸す時間が過ぎたら、入れ歯は水できちんと洗い流しましょう。一度使用した洗浄液は、必ず捨ててください。もう一度使用しても効果は無く、取れた汚れが含まれているのでとても不衛生です。使用した容器もきちんと水で洗い流しておきましょう。

入れ歯の保管方法

せっかく手入れをしても保管方法が間違っていると、入れ歯はすぐに傷んでしまいます。入れ歯を長持ちさせるためにも、注意を払ってきちんとした方法で保管をしてください。(参考:入れ歯の保管方法

レジンなどのプラスチック素材は乾燥を特に嫌います。乾燥するとひび割れや変形し、口の中に入れた時に噛み合わせが悪くなったり、グラついたりと違和感が生じます。乾燥は入れ歯が欠けるなど破損にもつながります。その度に歯科医院に行き修理するのはかなりの手間がかかります。材質によっては修理ができずに作り直すことになってしまいます。

保管方法は2つあります。ただの水に浸す方法と入れ歯の専用洗浄剤に浸して保管する方法です。ただの水に浸す場合はきちんと入れ歯を洗っていないと、細菌が繁殖してしまうので注意が必要です。入れ歯を丁寧にきちんと洗える方は、水だけでも問題ありません。水の場合は小さなコップや容器があればできるのでお手軽です。洗浄剤を使用する場合は必ず説明書を読み、一晩中浸して置いても大丈夫なものを選んでください。また次の日使用する前には、水でしっかり洗浄剤を洗い流してから装着しないと、口腔内に炎症を起こす可能性があります。どちらの保存方法でも入れ歯がきちんと液体に浸かっていることを確認してください。100円ショップなどで販売されている「蓋付きマグカップ」はホコリも入らず、液体も溢れにくい安心グッズです。

入れ歯用の保管のケースもありますが、透明なコップなどに保管しておく方が中の様子が見えるので、誤って落としたり、無くすことがなく便利かもしれません。

口腔内を清潔に保つことは健康維持に繋がります。細菌が繁殖しやすい入れ歯もきちんとケアすれば、入れ歯も身体も良い状態で保つことができます。汚れや傷が気になる時には悩まず医師に相談しましょう。

>入れ歯の正しい洗い方を実施して口腔環境を清潔に保つには?(その2)