地図に載らない心霊スポットなど、まことしやかにささやかれる都市伝説は数多く存在します。
歯に関する都市伝説といえば、小さいころにお母さんから言われた
「炭酸ジュースばっかり飲むと、歯が溶けちゃうよ」という話題です。真相はどうなのでしょうか?
結論から申し上げますと「継続的な摂取により、溶けてしまう可能性がある」ということです。
具体的なお話の前に、まず歯の溶ける仕組みについて考えていきましょう。
歯の表面は人体の中で骨よりも硬く、最も硬い組織と言われている「エナメル質」というものでできています。
これだけをきくと歯は溶けないのではないか?とお思いになられるかもしれませんが、ある条件が整った際にはエナメル質が溶けだしてしまうおそれもあります。 では、その条件とはいったい何なのでしょうか?
その条件とは
①虫歯をつくる菌が口の中にいること
②糖分のあるものを口から摂取すること の2つです。
実は、この「歯を溶かしてしまう」というメカニズムは、虫歯になる仕組みと全く同じしくみなのです!
虫歯とは、虫歯をつくる菌が糖分という餌をもとに毒素(酸)を作り、その毒素が歯をとかしてしまう仕組みです。
炭酸飲料によって歯が溶ける、という真相は、炭酸飲料に含まれる糖分が悪さをしていることにあります。
炭酸飲料も種類によって様々ですが、コーラなど
糖分がたくさん含まれている製品が多くあり、虫歯と直結しやすいからと考えられています。
歯を溶かす工程で、虫歯をつくる菌がいない、また菌がいても糖分を取らなければ
歯が溶け出すことはありませんが、いずれもない状態で生活することは難しいです。
それではこの事実にどのようにして向き合っていくべきなのでしょうか?
虫歯から歯をまもるためには「虫歯をつくる菌を働かせにくくする」ことが重要です。
そもそも虫歯をつくる菌の活動しやすい環境、しにくい環境とは何なのでしょうか?
それは口の中のpHというものが関係しています。
食べ物が口に入っていない状態では、虫歯菌の活動しにくい環境(中性)を保っていますが
食べ物が口に入ると、食べ物の糖分を餌に菌が活動をはじめ、菌が活動しやすい環境(酸性)に変化します。
唾液などによって最終的には菌の活動しにくい環境(中性)に戻りますが、口の中に食べ物がある状態が長く続くと
なかなかもとにもどらず、菌の活動しやすい環境がずっと続いている可能性が高いのです。
今回は炭酸飲料についてピックアップいたしましたが、これは炭酸飲料に限ったお話ではありません。
糖分を多く含んだ食べ物、飲み物をだらだらと食べ続けることで歯が溶け、虫歯になりやすくなってしまいます。
自分の歯で長く生活ができるようにするためにも糖分の少ない製品を選ぶこと(糖類ゼロの製品を選ぶetc)
またごはん以外の間食を減らすなど糖分の含む製品を口にする回数を意識することが大切です。
とはいえ現状、糖分は人間が生きていく上でエネルギーともなる物なので
糖分摂取をゼロにすることはなかなか難しいです。
今後食品の開発が進み、「甘いものを食べ続けても歯が健康のままでいられる食べ物がある」というような
嬉しい都市伝説がいつか聞けるような世の中になることを願います。
(文:落田)