昨今、新型コロナウイルスの感染予防として、様々な工夫がされています。
今回は患者さん一人一人ができる対策として、歯垢の除去についてお話しさせていただきます。
そもそも歯垢には多くの細菌が潜んでいます。
これらの細菌はプロテアーゼという酵素を出します。
実はこのプロテアーゼがお口の中にある粘膜を保護するタンパク質を破壊してしまうのです。
すると、お口の中のバリアとなる部分が破壊され、そこからウイルスが侵入しやすくなっていることが、
インフルエンザウイルスの実験で明らかになっています。
ですので、食事後の歯磨きや定期的な歯石除去、フロスによる歯垢の除去は虫歯の予防としてだけでなく、
ウイルスの感染予防としても非常に大切です。
とある研究チームによる高齢者を2つに分けて行った実験があります。1つは口腔ケアを週1回実施したグループで、もう1つはケアをしなかったグループです。半年後の調査によると、口腔ケアをしていたグループのほうがインフルエンザの発症率が約1/10になったと報告されています。
とある2つの小学校に歯磨きの促進活動をした実験があります。
この実験の結果、歯磨きの促進活動をした2つの小学校では、していなかった同区内の41校の小学校に比べて、インフルエンザによる学級閉鎖率が約半分でした。
このことから、新型コロナウイルスの感染予防に関する実験ではないものの、感染対策に期待できると思われます。
今日、新型コロナウイルスの感染が拡大しておりますが、まずはひとりひとりが今できる感染対策を徹底的にしていく。
これこそが、新型コロナウイルスのまん延を防ぐ最も効果的な方法なのではないでしょうか。
(文:広田)