今から約380年前の5月の話。ルイ14世は、わずか4歳にしてフランス国王に即位しました。ブルボン朝最盛期の王で、1715年9月1日に亡くなるまでの72年間という在位は、ギネス世界記録にも認定されているほど。
フランス絶対王政の全盛期を築いたルイ14世は、とてもエネルギッシュで頑強なイメージがあります。しかし「彼には、歯が1本もなかった」と聞き、とても驚きました。
歯がなかった理由は、侍医アントワーヌ・ダカンの進言によるもの。ダカンは『歯は全ての病気の温床である』と強く主張したのでした。「悪い歯だけでなく健康な歯も全て抜く」と言うのですから、恐ろしい話です。そんな想像を超える手術を受けたルイ14世は、歯が無くても食欲が衰えることはなかったそうです。
ただ、消化不良に悩まされ「下剤を飲んでは、食べる」を、毎日のように繰り返していました。このような生活を送っていたせいか、長い在位期間中には慢性的な疾患をいくつも患い、手術をすることも度々あったようです。太陽王と称えられたルイ14世ではありますが、その在位後期は、国の財政を立て直すことができず、国民に大きな負担をかけ、その人気はガタ落ちしてしまいました。
「歴史にifはない」と言われますが、もし国王にしっかりと合う入れ歯を、こまめにメンテナンスしながら使っていただけていたら、歴史はどうなっていたでしょう。
よく噛んで食事をすることは、消化を助けるだけでなく、食べ過ぎを防ぎます。口の周りの筋肉をよく使えば、表情も豊かになります。また、よく噛むことは、脳の活性化や体力維持にも繋がります。日々の生活をより楽しむためにも、歯を大切にしたいものです。