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2021年06月18日【健口サプリ #1】知っておきたい口の健康を脅かすもの

皆さん、はじめまして。
歯科衛生士/表情筋トレーナーの内田佳代です。

このコラム【健口サプリ】では、毎月1回のペースで歯と口もとの健康について、お知らせしていきます。口のトラブルについてや、そのメカニズムや予防方法、そして口もとに自信が持てるような表情筋のエクササイズもお知らせしていきます。

さて、今回のテーマは「口の中のトラブル」についてです。
「口の中の病気」もしくは、「口の中のトラブル」と言われると何を思い浮かべますか?

多くの方が「むし歯」か「歯周病」を思い浮かべるのではないでしょうか。

口の中の二大疾患は「むし歯」と「歯周病」

みなさんがイメージされた通り、口の中の二大疾患は「むし歯」「歯周病」です。
むし歯(う蝕)は、歯の病気。歯周病(歯槽膿漏)は、歯ぐきと歯を支える骨の病気です。むし歯と歯周病のメカニズムや予防法については、また別の回でお知らせします。

上記の2つに続いて多いトラブルが、歯が割れる・折れるといった「歯の破折」です。
歯の上の方、歯ぐきから見えている部分が割れたり欠けたりする分には、金属やセラミックなどで補完することで使い続けることができます。むし歯の治療と同じですね。

ただし、歯根(歯の根っこ)の部分が割れた場合は、保存が困難な場合が多く、抜歯することも。歯の破折は、歯ぎしりや食いしばりが原因で起こることが多く、むし歯や歯周病と違い予防することが難しいトラブルです。

他にもたくさんある口の中のトラブルと病気

先ほど挙げた3つ以外にも、口の中のトラブルはたくさんありますので、一部ご紹介します。

・口の中の粘膜や唇や舌などが腫れたり水疱ができたりする「粘膜疾患」
口内炎や口腔内にカビの一種であるカンジダ菌が増える口腔カンジダ症などがあります。

・堀ちえみさんのニュースで知った方も多い「口の中のがん」
なかなか口の中をじっくり観察することは少ないと思いますが、ご自身の上顎や舌などを観察してみると「こんな色をしていたのか?このブツブツはなんだろう?」などと不安になってしまう方がいるかもしれません。しかし、口の中にできるがんは、がん全体の2%と罹患率は低いです。(参考:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
堀ちえみさんは、「舌がん」でしたが、口腔内のがんの中で最も頻度の高いがんです。

・ 顎が痛い、口が開かない・開きづらいという症状がある「顎関節症」
痛みはないけど、口を開けた時に「カクッ」と音がするという方も、顎関節症です。あまり硬い食べ物を食べて顎に負担をかけすぎないようにしましょう。

・ 口が乾く、ご飯を食べる時に飲み物が無いと飲み込みにくいといった症状の「ドライマウス」
口の中が乾くので、むし歯や歯周病が進行しやすくなります。

・ 親知らずの周りが腫れて痛みがでる「智歯周囲炎」
親知らず=抜かなくてはならない。というわけではなく、真っ直ぐ生えており歯並びに影響を及ぼさなければ、必ずしも抜く必要があるわけではありません。半分だけ歯ぐきの中から顔を出して清掃しにくい状況だったりする場合は、炎症が起こりやすく抜くことを勧められるかと思います。
ここまでザッと紹介しましたが、口の中の狭い範囲とはいえ色々な疾患がありますね。

 

滑舌の悪さや誤嚥も口もとのトラブルの1つ

・ 舌がうまく動かず滑舌が悪くなる
舌も筋肉なので、体の筋肉と同様、衰えて動きにくくなると喋りにくくなります。滑舌の悪さの1つとして、新しい入れ歯に変えてから、空気が抜けてしゃべりにくい(発音しにくい)ということがありますが、この場合は、入れ歯のトラブルですので、入れ歯を作ってくれた先生に何度か調整してもらうと改善すると思いますよ。

・ 口の周りの筋肉の衰えからくる「誤嚥」
舌や口の周りの筋肉が衰えることが原因で、食事の時に飲み込みがうまくいかず、むせることが多くなってきます。普段のお食事の時を振り返ってみてどうですか?お茶を飲んだ時によくむせる方などは要注意です。筋肉の衰えを予防する口もとや舌のトレーニングは、また後日お知らせしますので、お楽しみに!

どうですか?思いのほか口のトラブルや病気は多いですね。

毎日のケアと定期的なプロのチェックが必須

歯医者に行くのは腰が重いという方も多いはず。歯を毎日しっかり磨いているから、歯医者いらず!というわけにいかないのが、口の中。また、上記にあげた口の中のトラブルは、残念ながら、歯磨きすれば解決するような単純なものではありません。毎日のケア(歯磨き)とプロによる定期的なチェックとメンテナンスが欠かせないのです。

口は、食事をする道具・器官です。
人生の楽しみの一つは食事ではないでしょうか?
歯や歯ぐきは、食事を最大限に楽しむのに欠かせない道具なのです。
一生食事を楽しむには、口の健康に目を向けることが第一歩。
その口の健康を守るためには「歯」だけではなく、舌や歯肉、顎や口周りの筋肉へも目を向けることが大切ではないでしょうか。

 

次回の健口サプリは「人生をともに歩むあなたの口の構造」についてです。歯の本数から歯の硬さの秘密などお知らせします。

 


内田佳代(うちだ かよ) 歯科衛生士・表情筋トレーナー
東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒
早稲田大学大学院創造理工学研究科修了 経営工学修士
「噛むこと」を意識させる、歯科衛生士ならではの表情筋エクササイズ、口元からの美を提案し、全国各地で講演・セミナー開催。ミスユニバース地方大会セミナー担当。NHK「きれいの魔法」など美容番組・雑誌等へ多数出演。ぶんか社「ガム小顔ダイエット」監修。表情筋エクササイズDVD「笑顔づくり編」「スッキリ小顔編」も好評。