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2021年07月16日【健口サプリ #2】人生をともに歩むあなたの口の構造

皆さん、こんにちは。
歯科衛生士/表情筋トレーナーの内田佳代です。

前回は、「知っておきたい口の中の健康を脅かすもの」ということで、口の中のトラブルについてお知らせしました。今回は、「人生をともに歩むあなたの口の中の構造」についてお知らせします。

 

さて、皆さん、ご自身の歯は何本あるか、ご存知ですか?
永久歯は28本(親知らずを入れると32本)、乳歯は20本です。

歯が何度も生え変わる動物もいますが、人間は乳歯から永久歯へ1度しか生え変わらないので、残念ながら永久歯を失うとそれっきりです。

乳歯から永久歯に生え変わるスタートは、おおよそ6歳前後から。永久歯が生えそろうのが、おおよそ14歳前後です。仮に80歳まで大事に使うことができたら、多くの歯は50年以上使い続けることになります。

また、ご自身の口の中の状態、どの部分の歯をいつごろどんな治療をしたのかなど把握していますか?自分の体のことですが、歯の治療の経緯や口の中の状態など、よく把握していないという人が多いのではないでしょうか。

 

体の組織の中で一番硬いエナメル質

大人だと28本ある歯ですが、歯は3層構造になっています。歯ぐきから見えている部分は、外側にエナメル質があり、象牙質そしてその中に歯の神経や血管を含む組織である歯髄があります。

歯ぐきの下の部分は、外側はエナメル質ではなくセメント質があり、おなじく象牙質・歯髄があります。

エナメル質は、体のどの部分よりも硬い組織で、そう簡単には壊れません。どの程度硬いかというと、硬さの指標となる「モース高度」があり、10段階で示されるのですが、エナメル質は7、水晶と同じくらい。ちなみに鉄は5、ダイヤモンドが10です。

頭蓋骨や腰の骨とか硬そうですが、体のどの部分の骨よりも硬いのがエナメル質です。そんな硬さが売りのエナメル質の弱点は「酸」。酸におかされることによってエナメル質が破壊されるのが「むし歯」です。

 

神経を取ると痛みを感じない?

酸におかされエナメル質が溶け始めるのが、むし歯の始まりですが、最初から痛みが出るわけではありません。前述したように歯は3層構造なので、神経に刺激が届かない限りは強い痛みを感じることが無いのです。

では、痛みはどうやって感じるか??

エナメル質が溶け、次に破壊されるのが、その下にある象牙質です。

象牙質は、イラストの通り細かいパイプが通っていて、刺激を神経に伝達するので、むし歯が象牙質に達すると、痛みを感じるようになるのです。歯髄までむし歯がいってしまうと、歯の神経が細菌に感染するため、痛みや感染をそれ以上広げないために、神経を取らないとならなくなります。神経を取った歯は、知覚がなくなるので痛み等は感じなくなります。

 

失いたくない!歯ごたえを感じるセンサー、歯根膜

永久歯は、失うと2度と生えてきませんが、歯を失ったとしても、しっかり治療をすれば、ブリッジ・入れ歯・インプラントなど、食べ物が問題なく噛めるような処置を行うことができます。

しかし、歯を失って今の技術で再生できないのが「歯根膜」です。

歯根膜は、硬さ・柔らかさ・噛みごたえなどのセンサーとなります。シャキシャキした歯応えが感じられると、美味しさも倍増しますよね。それは、歯根膜があるおかげです。

 

口の中の大黒柱は、歯槽骨

次に、歯を支える周りの組織に目を向けてみましょう。

パッと見た感じ、歯は歯ぐきに埋まっているように見えますが、歯の骨(歯槽骨)に埋まっています。その上にかぶさっているのが歯ぐきです。

歯ぐきや歯槽骨に炎症が起こるのが「歯周病」。

歯周病の進行は、歯ぐきの炎症(歯肉炎)からはじまり、次第に炎症が骨に広がり、その骨が溶けてなくなっていきます。歯周病は、日本人の成人の8割が罹っており「全世界で最も蔓延している病気」ギネスブックにのるほどです。

前述したように歯を失っても、入れ歯やインプラントなどの処置ができますが、歯周病で歯を失った場合は、歯槽骨がなくなるため、インプラントの処置ができなかったり、入れ歯も骨がないと上手くフィットしなかったり治療の選択肢が狭まるというデメリットがあります。

 

自分の口の中の状態を把握しよう

今回のテーマは「口の中の構造」で、口の中を構成する組織を詳しくお伝えしました。紹介した組織の他に舌や頬の粘膜などもあります。

口の中という狭い範囲ですが、構造や仕組みをご理解いただけたでしょうか。

ご自身の歯が何本あるのか?治療した歯がどの歯なのか?など、ご自身の歯を観察してみてください。歯の形や色、それぞれ違っていて複雑な形をしているのがわかるかと思います。

もし、観察していて異常が見られる場合や、痛みや違和感がある場合は、早めにかかりつけの歯科医院でみてもらいましょう。ネットで検索した内容で自分の状態と照らし合わせるだけでは、不安が募るだけで何も解決しません。

食事を楽しむための器官・道具としてだけでなく、人生を共に歩む小さなパートナーとして歯を大事にしてくださいね!

 

次回の健口サプリは「大人のむし歯予防の3つのポイント」です。むし歯になるメカニズムと予防法についてお知らせします。

 


内田佳代(うちだ かよ) 歯科衛生士・表情筋トレーナー

東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒
早稲田大学大学院創造理工学研究科修了 経営工学修士

「噛むこと」を意識させる、歯科衛生士ならではの表情筋エクササイズ、口元からの美を提案し、全国各地で講演・セミナー開催。ミスユニバース地方大会セミナー担当。NHK「きれいの魔法」など美容番組・雑誌等へ多数出演。ぶんか社「ガム小顔ダイエット」監修。表情筋エクササイズDVD「笑顔づくり編」「スッキリ小顔編」も好評。