+SMILEPlus smile

2021年10月15日【健口サプリ #5】歯周病の治療の流れと進行させない3つのポイント

皆さん、こんにちは。
歯科衛生士/表情筋トレーナーの内田佳代です。

前回は、「歯周病の検査と予防方法」についてお知らせしました。今回は、「歯周病を進行させない3つのポイント」です。

その3つとは、
【ポイント1】セルフケアを徹底しよう
【ポイント2】定期的にメインテナンスを受けよう
【ポイント3】生活習慣を見直そう
です。詳しく見ていきましょう!

歯周病の治療の流れ

残念ながら、今の医学では歯周病は治ることがありません。歯周病になる前の状態に歯槽骨は戻らないのです。しかし、適切な治療とその後のメインテナンスにより、炎症や歯周病の進行を止めることが可能です。

歯周病の治療の流れが①~⑥になります。
①歯周病の検査・診断・治療計画
 【健口サプリ#4】でお知らせした歯周ポケット検査やレントゲン検査を行い、歯科医師による診断・治療計画が立てられます。

②ブラッシング指導、歯石除去
    ①の検査結果などを元にブラッシング指導や生活習慣の指導、そして歯科衛生士による歯石除去を行います。

③2回目検査
 ②で行ったブラッシング指導の確認や、歯石除去を行った後、歯肉の状態が変化しているかどうかを判定するために、歯周ポケット検査などを実施します。

歯肉炎の方やプラークコントロールが十分行われている場合は、歯周病の治療はここで終了になり、④ ⑤をスキップして、⑥のメインテナンスへ移行します。

④ブラッシング指導、歯周ポケット内の歯石除去
 2回目検査でまだ出血がある場合や、深いポケットがある場合、または歯周ポケット内に歯石が付着している場合は、数回に渡り歯周ポケット内の歯石を除去します。

⑤3回目検査
 ここで、再び検査です。歯周ポケット内の歯石の除去やブラッシング指導で歯肉の状態が改善されているか否かを、③の検査同様行っていきます。この検査で改善が見られれば、メインテナンスへ移行します。しかし、ここでも改善が見られない場合や歯肉や歯槽骨の状態が思わしくない場合は、歯周外科処置になります。

⑥メインテナンス
 歯周病を再発させないために、定期的なクリーニングや検査を行っていきます。その人のリスクに応じて、メインテナンスの期間が変わります。

 セルフケアでプラークコントロールを徹底しよう

残念ながら、今のところ歯周病を治す薬はありません。また、プラークは歯ブラシ等での物理的(もしくは機械的)な除去が効果的であり、うがい薬や抗菌薬が効きにくいため、セルフケアがとても重要です。

歯周病を予防するためには、歯と歯ぐきの境目をしっかり磨きプラークを除去する必要があります。歯ブラシだけでは、磨き残しが生まれるため、フロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシなどの補助清掃用具を使う必要も出てきます。

口の中の状態は、人それぞれですので、あなたに合った磨き方や道具をアドバイスしてもらい、効率よくブラッシングするためにも、担当の歯科衛生士に磨き方のチェックを受けることをお勧めします。

大人になって歯磨きのチェックなんてかったるい!恥ずかしい!と思う方もいるかもしれませんが、ご自身の健康を支えるためには、歯磨きの技術向上は欠かせません。

また、プロ(歯科衛生士)に磨いてもらうと、歯ぐきや歯に当たる歯ブラシの適正な強さや動かす幅などを体感として知ることができるため、より一層ブラッシングの理解が深まるでしょう。

メインテナンスを受けよう

メインテナンスとは、歯周病の再発を防いで健康を維持していくための定期的な治療のことです。

歯周病は再発の多い病気と言われ、一度治療をしたからと安心は禁物です。歯科医院での定期的なチェックとクリーニングを行う必要があります。先にも書いたとおり、その人のリスクによりメインテナンスの期間は異なります。せっかく治療をしたのに、歯周病が進行や再発をしてしまっては元も子もありません。あなたのリスクに合った期間を提案されると思いますので、定期的にメインテナンスを受けましょう。

私たち歯科衛生士は、メインテナンス時にも歯周ポケット検査などの検査を定期的に行い、患者さんの変化を見逃さないようにしています。また、セルフケアも歯周病の再発に大きく左右されるので、メインテナンス時にブラッシングの再確認や生活習慣の指導も行います。

生活習慣も見直そう

歯周病の原因は「プラーク」でした。プラークを除去することが歯周病の大きなカギになりますが、口腔内の環境や生活習慣なども、歯周病の間接的な原因となるため、生活習慣の見直しも重要です。

歯周病を進行させるリスクファクター(病気の発生や進行の原因となる要素)は、
・糖尿病
・喫煙
・不規則な食生活
・口呼吸
などがあります。

特に喫煙は歯周病を悪化させるリスクファクターで、喫煙者は非喫煙者と比べて歯周病にかかりやすく悪化しやすい上に、歯周病の治療効果は低く、治療後の治りが悪いことが分かっています。

禁煙は、歯周病の予防に大変有効です。

歯周病を進行させない3つのポイント

前述したように歯周病は一度罹ったら元通りにならない病気で、早期発見がとても重要です。
そこで、以下の3つのポイントを守っていただけると歯周病のリスクがグンと下がります。
・セルフケアを徹底しよう
・定期的にメインテナンスを受けよう
・生活習慣を見直そう

歯周病は、適切な治療とその後のメインテナンスを受けることで、炎症や歯周病の進行を止め、健康を取り戻すことに繋がります。また、セルフケアの徹底や生活習慣の見直しなど、毎日の積み重ねも歯周病の予防に繋がりますので、ぜひ3つのポイントを実践してみてください。

次回の健口サプリは『歯磨きの道具は何がいい?』です。歯ブラシや電動ブラシの選択方法についてお知らせします。

 


内田佳代(うちだ かよ) 歯科衛生士・表情筋トレーナー

東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒
早稲田大学大学院創造理工学研究科修了 経営工学修士

「噛むこと」を意識させる、歯科衛生士ならではの表情筋エクササイズ、口元からの美を提案し、全国各地で講演・セミナー開催。ミスユニバース地方大会セミナー担当。NHK「きれいの魔法」など美容番組・雑誌等へ多数出演。ぶんか社「ガム小顔ダイエット」監修。表情筋エクササイズDVD「笑顔づくり編」「スッキリ小顔編」も好評。