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2022年09月16日【噛む噛むアンチエイジング#3】顔の老化のメカニズム

皆さん、こんにちは。歯科衛生士/抗加齢指導士の内田佳代です。

前回の噛む噛むアンチエイジング#2「ほうれい線は咀嚼筋の衰え」では、顔の筋肉についてお伝えしました。今回のコラムは「顔の老化のメカニズム」をお知らせいたします。

顔の老化のメカニズム

年齢を重ねるとシワが増え、肌のたるみが気になってきます。それらの原因は何かご存知ですか?

皮膚の老化には、加齢に伴い細胞機能の低下や全身のホルモンレベルの変化など、内因性による生理老化と、乾燥・酸化・光老化(日焼け)といった環境要因による外因性の老化があります。シワは肌質や生活環境、生活習慣、表情の癖などにより異なり、浅い小ジワは乾燥、真皮まで刻まれた深いシワは日焼けによる影響が大きいです。

顔の筋肉を普段の生活の中でしっかり動かすことは大切ですが、それだけで老化を防げるわけではなく、色々な要因もあることを理解し、バランスのとれた生活を送ることが重要です。特に日焼けは、肌にとっては大敵で、老化を促す大きな要因です。

若い時は、皮膚の弾力性があるため、動いた時だけ出てくるシワのみだったものが、加齢によりシワが固定化し、深く刻み込まれることになります。顔の筋肉を適度に動かすことに加え、保湿で乾燥を防ぐことや、なるべく紫外線の影響を受けないようにケアをすることが美しさを保つ秘訣です。

また、できてしまったシワを消すことは、自宅のケアでは難しいため、シワができないように予防をすることをおすすめします。

コラムでは、後半に顔のエクササイズをお知らせしますが、おでこや眉間など、部位によっては、シワになりやすく動かさない方が良い場所があります。目を見開く時におでこの筋肉で引き上げる癖や眉間にシワを寄せる癖など、それらの表情の癖がある方は、シワになりやすいため、癖を治すように心がけましょう。

加齢とともに筋肉や脂肪組織も萎縮していきます。筋肉が薄くなると脂肪を支えきれなくなり、たるみなどの変化が現れます。それにより、ほうれい線を明瞭化させ、ブルドッグのような頬(マリオネットラインの出現)になり、首と顔との境目がぼんやりしてきます。また、目の周りの筋肉(眼輪筋)が薄くなると、脂肪を支えきれなくなり、脂肪が前方に突き出すことで目の下のタルミなどの変化が現れます。

肌は「触らない」が基本 エクササイズのやりすぎもシワに

老けた印象を与える顔のシワ・たるみの原因は、皮膚の老化だけでなく、表情筋や靭帯および脂肪組織などの加齢変化にあると考えられています。そして、シワの場合、よく動くところに発生し、動かないところには発生しにくいという原則があります。すなわち、顔の筋肉を動かすと細かいシワはできてしまうということです。

「顔のエクササイズをするとシワにつながりませんか?」という質問をよく受けますが、細かいシワを予防したいのなら、顔を動かさないほうが良いです。しかし、シワができるのが怖いからと顔の筋肉を動かさないと、噛む力や飲み込みの低下など、機能面で低下していきます。

しかも、動かさないことで咀嚼筋や舌周りの筋肉が衰え、ほうれい線やフェイスラインのたるみなど、大きなたるみに繋がってしまい、より老けた印象を与えてしまうのです。これでは本末転倒ではないでしょうか…

顔の筋肉を動かすといっても、過度な運動はシワに繋がるためNGです。なにごとも「適度」ということが一番大切です。基本は生活の中で自然に無理なく顔をしっかり動かしましょう。

顔を極力動かさないことで、シワのない綺麗な肌が続くかもしれませんが、全身の健康にも目を向けてみてください。機能面が衰え、健康面に支障をきたします。

前回のコラムでもお伝えしましたが、舌の筋肉が衰えると、うまく飲み込みができないなど誤嚥につながります。また、口周りの筋肉が動くことにより唾液量が増えるので、口の中の乾燥を防ぐためにも、口元を動かして積極的に唾液量を増やすことが必要です。

生活の中で自然に顔を動かし、鍛えバランスの良い筋力を保ちながら、皮膚は必要以上に「触らない」という原則を守ってください。医学的にも無駄に皮膚を触ることでシワの原因になることがわかっています。たとえエステに通っても筋肉は鍛えられないので、シワ・たるみの予防は期待できません。顔の引き締めや老化の予防をしたいのであれば、エステは気休めにしかなりません。

また、フェイスラインをスッキリさせたいといって「小顔矯正」など、ギュウギュウ骨を押す施術を受けても骨は動きませんので、一時的にスッキリしたように感じても根本的には何も変わりません。(消費者庁も注意喚起しています)

楽して痩せる方法やキレイになる方法が無いように、あなたご自身で地道に筋肉を動かすことがアンチエイジングの近道なのです。

次回の噛む噛むアンチエイジングでは、「マスク生活で顔の老化は促進されるのか?」についてお知らせいたします。

 


内田佳代(うちだ かよ) 歯科衛生士・日本抗加齢医学会認定 抗加齢指導士
東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒
早稲田大学大学院創造理工学研究科修了 経営工学修士
「噛むこと」を意識させる、歯科衛生士ならではの表情筋エクササイズ、口元からの美を提案し、全国各地で講演・セミナー開催。ミスユニバース地方大会セミナー担当。NHK「きれいの魔法」など美容番組・雑誌等へ多数出演。ぶんか社「ガム小顔ダイエット」監修。表情筋エクササイズDVD「笑顔づくり編」「スッキリ小顔編」も好評。