皆さん、こんにちは。歯科衛生士/抗加齢指導士の内田佳代です。
前回の噛む噛むアンチエイジング#3では、顔の老化のメカニズムについてお伝えしました。 今回のコラムは「マスク生活で顔の老化が促進されるのか?」というテーマで、マスクと顔の老化との関係についてお知らせいたします。
新型コロナウイルスの影響により、マスク生活が⻑くなってきました。外に出る時はマスク、人と会う時はマスクをつけっぱなしというのも当たり前になりましたね。
最近よく目にすることが「マスクをしていると顔がたるむ」「マスクをしていると口呼吸になる」というもの。口もとのたるみというのが、⻑引くマスク生活の弊害とも言えるかと思います。 しかし、それはマスクのせいではありません。マスクをしていることで、人に口もとが見えてない(見られていない)ため、口もとがゆるみがちになり、口周りの筋力が衰えることで 顔のたるみに繋がっています。
人は「誰かに見られている」ということで、意識をします。多くの人は、自分がどう見えているのかを意識し、より綺麗に見せたいと思っているはず。ところが、マスクをしていることで口もとは見えず、緊張感はなくなりゆるみがちになります。
マスクを外し、顔の全体が全て見える状態でのコミュニケーションをする場合と、マスクをし顔の半分が見えない状態でのコミュニケーションとでは、顔および口もとの筋肉の動きが違うことがわかっています。
自分の口元を他人に見られない状況下では、無意識のうちに顔の筋肉をあまり動かさない省エネ稼働にしてしまうのです。オンライン会議で、パソコンの画面に映った自分の顔を見て「あれ?以前より衰えている」「顔のたるみが気になる」「無表情だな」と改めて気が付く方も多いようです。
顔の衰えや口呼吸などの、ネガティブな顔の変化が起こることで、マスクを悪者にしがちですが、医療従事者は新型コロナが流行る前から仕事中はマスクを着用していました。 医療従事者でなくとも食品関係や精密機械を扱う方など職業柄、仕事中はマスク着用したままという方も多いはずです。しかし、⻑時間マスクをつける人と普段マスクをしない人とを比べ、顔のたるみや口呼吸に悩まされているということはありません。
マスクを悪者にするのではなく、マスクを理由に顔を意識的に動かさないという生活を改めるといいでしょう。筋肉はダラ〜と脱力している方が楽です。姿勢も背筋をピッ!と伸ばすより猫背でいる方 が楽ですよね。自分を綺麗に見せたければ、常にとはいいませんが、力を入れるべきところには力を入れ、美しい状態をキープしましょう。
体幹部の筋肉のトレーニングは、毎日ではなくとも週2〜3回の筋トレで鍛えることにより引き締まっていきますが、顔の筋肉はそうはいきません。筋トレ DAY を作って集中的に引き締める努力をするのではなく、毎日の生活の中でしっかり動かすことが重要です。つまり、喋る・食べる時にしっかりと顔を動かすことが効果的です。 それは、顔の筋肉が体の筋肉とは違い細い筋繊維の集まりだからです。そのため、集中的に 負荷をかけてトレーニングを行うより小さな力で継続的に負荷をかけることの方が有効なのです。
コロナ禍において、対面でおしゃべりする機会が減ったかもしれません。人によっては、歌う機会も減ったかもしれません。ただし、食事の回数など変化はないはずです。変わらずできることは食事の時にしっかり口を動かすこと、すなわちしっかり噛むことを意識するだけでも変化は現れます。
マスクをしていてもしていなくても、普段の口元の状態は、軽く口を閉じ、舌を上顎にしっかりつけましょう。
舌の位置が正しい位置にあることで、自然と鼻呼吸になります。 舌の正しい位置については、健口サプリ#9 でお知らせしていますので、そちらの記事も参考にしてください。
たるまないために、口をしっかり閉じ、口の周りの筋肉にグッと力をいれるのはかえって NG です。余計な部分に力が入ることで、食いしばりにつながります。これについては後にコラムでお知らせする予定です。力を無理に入れるのではなく、入れるべきところに普段からしっかり入れる習慣づけることが大切です。
次回の噛む噛むアンチエイジングでは、「老けない食べ方」についてお知らせいたします。
内田佳代(うちだ かよ) 歯科衛生士・日本抗加齢医学会認定 抗加齢指導士
東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒
早稲田大学大学院創造理工学研究科修了 経営工学修士
「噛むこと」を意識させる、歯科衛生士ならではの表情筋エクササイズ、口元からの美を提案し、全国各地で講演・セミナー開催。ミスユニバース地方大会セミナー担当。NHK「きれいの魔法」など美容番組・雑誌等へ多数出演。ぶんか社「ガム小顔ダイエット」監修。表情筋エクササイズDVD「笑顔づくり編」「スッキリ小顔編」も好評。