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2022年11月18日【噛む噛むアンチエイジング#5】老けない食べ方

皆さん、こんにちは。歯科衛生士/抗加齢指導士の内田佳代です。

前回の噛む噛むアンチエイジング#4「マスク生活で顔の老化は促進されるのか?」では、マスク生活と顔の老化の関係についてお伝えしました。 今回のコラムは「老けない食べ方」ということで、食べる時の筋肉の動きや噛む回数につい てお知らせいたします。

第2回の「ほうれい線は咀嚼筋の衰え〜顔の筋肉と衰える場所〜」でお伝えしたように、顔の筋肉は3種類あり、口もとを動かすことで顔の筋肉の8割が動きます。 顔の筋肉は口輪筋を中心に放射線状に繋がっています。

 

口もとを動かすこと、話す・歌うという動作ももちろん筋肉を動かしますが、「噛む」「飲み込む」といったものを食べる動作が、自然と顔の筋肉の多くを動かすことになります。 しっかり噛むことで、1日3回の食事時間が知らず知らずにトレーニングの時間になっているのです。

食事の際には、主に咀嚼筋と舌の筋肉が動きます。食べ物が口の中に取り込まれると、まず舌は食べ物を上顎に軽く押し付けて、その食べ物の硬さを判別します。プリンや柔らか絹豆腐など、⻭で噛む必要のないものは、上顎に舌で押 し付けた後、嚥下しやすい形にして飲み込みます。 ⻭で噛む必要のあるものは、舌で食べ物を⻭に運び、飲み込める形にします。また、咀嚼時に舌や頬は食べ物が⻭からずれないように動いています。私たちは、食べ物の⻭ざわりや舌ざわりなどで、硬さを確かめ無意識で咀嚼方法を変えているのです。 そして、舌は食べ物を唾液と混ぜ、飲み込みやすい形にしてのど(食道)へと送ります。これが、噛む・飲み込むという動作です。無意識にやっているのでわかりにくいかもしれませんが、噛む・飲み込む際には、咀嚼筋や舌の筋肉がしっかり働いています。

早食いはたるみの元

あなたの1回の食事時間は何分くらいでしょうか? 気がついたら飲むように流し込んでいて、あっという間に食事が終わっていたなんてこと はないですか? 早食いの方は、あまり噛まずに飲み込むため、咀嚼回数は少なくなります。 筋肉の維持には適度な運動が必要です。顔の筋肉もよく噛むことで、適度な負荷がかかり、 機能の維持につながり、衰えを予防できます。 人間の体は、筋肉をあまり動かさない、または負荷が軽い運動しか行わなかった場合、運動 器菅は退化していきます。これを廃用性萎縮といいます。 早食いや流し込むなどのあまり噛まずに食事をしている方は、しっかり咀嚼している人に比べて、顔の筋肉の活動量が少ないため、加齢に伴う筋肉量の減少を加速することになるでしょう。

また、老化とは別の話ですが、早食いすることでたくさん食べすぎてしまうことも分かっています。早食いは肥満の元とも言われますので、ゆっくり食事する癖をつけましょう。

 

食べる時の口の動かし方

しっかり噛むというと、噛む回数にこだわりがちですが、口もとの筋肉の動かし方を意識することが重要です。
具体的には、口をしっかり閉じることと、舌を動かすことです。 舌は食べ物をまとめて飲み込みやすくする働きがあります。しかし、あまり口を上下にモグモグと動かさない食べ方の場合、舌はあまり動きません。 口を上下に大きく動かすと食べ物が色々な場所に移動するため、それをまとめようと舌もしっかり動きます。
ガムで試してみてください。 口をわざと上下にモグモグ動かしながらガムを噛んでみましょう。 ※口はしっかり閉じましょう。 右の奥⻭にガムを置き同じ場所で10回噛んでみてください。 ガムは噛むたびに色々な場所へ移動しそうになるので、舌で同じ場所に押し戻しているの がわかると思います。 逆に口をあまり動かさず小さな動きで10回同じようにガムを咀嚼してみると、ガムはその場からあまり移動しないため、舌もほとんど動かないのがわかるかと思います。 意識してモグモグと顔の筋肉を大きく上下に動かすことで、舌も自然と動かさざるを得ない状況を作るのです。

1口30回は必要?

一口30回とよく言われますが、これはよく噛んで食べましょうという1つの目安です。食事の本来の目的は、料理を味わい楽しむことではないでしょうか。(食事の目的が栄養を取るだけと考える人も中にはいるかと思いますが…)

どんな食材でも30回も噛むことにとらわれていたら、「よく噛まないとならない」というのに気を取られ、食事を楽しむことも料理を味わうことも二の次になってしまうでしょう。その食材ごとの適切な咀嚼の回数がありますので、回数にこだわるのではなく、料理を味わってしっかり噛むことを意識するだけで十分です。

 

次回の噛む噛むアンチエイジングでは、「続!老けない噛み方」として、噛む回数を増やす 工夫や噛みごたえがある食材の選び方などについてお知らせいたします。

 


内田佳代(うちだ かよ) 歯科衛生士・日本抗加齢医学会認定 抗加齢指導士
東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒
早稲田大学大学院創造理工学研究科修了 経営工学修士
「噛むこと」を意識させる、歯科衛生士ならではの表情筋エクササイズ、口元からの美を提案し、全国各地で講演・セミナー開催。ミスユニバース地方大会セミナー担当。NHK「きれいの魔法」など美容番組・雑誌等へ多数出演。ぶんか社「ガム小顔ダイエット」監修。表情筋エクササイズDVD「笑顔づくり編」「スッキリ小顔編」も好評。