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2022年04月15日【健口サプリ#11】健康寿命を伸ばすオーラルフレイル(口の衰え)対策

皆さん、こんにちは。
歯科衛生士/表情筋トレーナーの内田佳代です。

前回は、「幸せをよぶ笑顔のつくり方」ということで、笑顔や口角を上げるエクササイズについてお知らせしました。今回は、「オーラルフレイル」やその対策についてお知らせします。

オーラルフレイルとは?

「フレイル」という言葉、聞いたことありますか?

フレイルとは、健康な状態と要介護の状態の間のことで、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことです。この時期に適切な治療や予防を行うことで、要介護状態に進まずにすむことがわかってきています。何事においても言えますが、早期に気がついて対応するということが大切ですね。

オーラルフレイルとは、口もとの機能の衰えのことを指す言葉です。

フレイルは、加齢により筋力や活動が低下している状態のことですので、何もせずにいると確実に体の機能は衰えていきます。そして、機能が衰えることにより全身の健康にも影響を及ぼします。

自分はまだまだ若いから関係無い!と思っている方も多くいるでしょう。
みなさんの身近な方、ご両親・祖父母の方はどうでしょうか?
食事の時にむせたりしていませんか?
最近滑舌が悪くなったりしていませんか?

オーラルフレイルのはじまりに見られるのが下記のような変化です。
・滑舌が悪くなる
・食べこぼしが増える
・頻繁にむせる
・口の中が乾燥する

機能低下の原因は、口腔周囲筋(口の周りの筋肉)の衰えです。特に舌の筋肉が衰えると誤嚥につながります。誤嚥を防ぐには「呼吸に関係する胸周りの筋肉を鍛える」こと「口腔周囲筋を鍛える」こと、この2つが重要です。顔の老化と舌のエクササイズについては、【健口サプリ #9】でお知らせしていますので、一度確認してエクササイズを復習してみてくださいね。

今回は、普段の生活の中でできる口腔周囲筋と胸周りのエクササイズをお知らせします。

平均寿命と健康寿命について

日本の平均寿命は、男性81歳 女性87歳となっています。(参考:平均寿命と健康寿命 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

私たちの寿命は延び続け、今では“人生100年時代”と言われるほどです。しかし一方で、自立した生活を送れる期間「健康寿命」が、平均寿命より男性は約9年、女性は約12年も短いのが現実です。

これは支援や介護を必要とするなど、健康上の問題で日常生活に制限のある期間が平均で9~12年もあるということです。長い人生、いつまでも元気に過ごすためには「健康寿命」を延ばすことが必要なのです。そして、健康寿命を伸ばすためにも、今後フレイル対策を早期に取り入れることがキーポイントなのです。

生活の中でしっかり顔を動かす癖をつけよう

今回は、介護予防のための口腔周囲筋と胸周りのエクササイズを4つお知らせします。エクササイズに頼るのではなく、まずは、喋る・歌う・しっかり噛むなど、普段の生活の中でもしっかり口もとを動かす癖をつけましょう。

◎はっきり読みエクササイズ
とてもシンプルなエクササイズです。鏡の前で「あ・い・う・え・お」をはっきり、オーバーにゆっくり発音していきます。1文字3秒ずつゆっくりなるべく大きな声で声を出しながら行いましょう。

喋る時にあまり口もとを動かさない方は、普段の会話の際に顔の筋肉をしっかり動かして声を出すことを意識してみると、自然と顔の筋肉を動かす癖がついてくるでしょう。

 

◎おおげさブクブクうがい
口を上下にゆっくり大きく、わざとらしいほどにブクブクさせながら、うがいを10回程度行いましょう。

普段の生活でも、マスクの中で、頬に空気を入れて大袈裟にゆっくりブクブクすることも頬の筋肉が伸びるので効果的です。

表情筋だけでなく、胸周りの筋肉も鍛える必要があります。誤嚥した時に胸周りの筋肉が弱いと気管に入ったものを吐き出すことができず、誤嚥性肺炎を引き起こす原因にもなります。

「細く長く息を出す」「勢い良く息を出す」という呼吸を意識して行う2種類のエクササイズをお知らせします。

ロウソクエクササイズ
指をまっすぐ前に出し、その指に空気を当てるように「フッ~」っと息を吹きかけます。

 

なるべく息は細く長く出すように、唇を尖らせて行います。1回6秒くらいを目安に、3セット行いましょう。遠くから優しくロウソクを吹き消すイメージです。

◎キアイエクササイズ
その名の通り気合が必要なエクササイズです。ゆっくり息を吸った後、一度息を止め、口とのどを開き、肺の中にある空気を「ハッ、ハッ、ハッー」とお腹に力を入れながら、音を区切って強く吐き出します。のどに詰まった痰を出す時の「カ〜ッ、ペッ!」の「カ〜ッ」のイメージです。続けて5回繰り返しましょう。

早期発見のために定期的な歯科検診を

ご自身や家族の方が早めに変化に気づくのが一番ですが、なかなか変化には気づけないものです。定期的にかかりつけの歯科医院にみてもらうことが大事です。

歯科では、口もとの老化を測る「口腔機能低下症」の検査を行っている医院もあります。(健康保険適用)年齢とともに口の中の環境も変化をするので、かかりつけ医の先生に相談すると良いでしょう。

まだまだ自分には関係無いという30代・40代の方は、ご自身の親御さんなどにオーラルフレイル予防のために必要なことを伝えてみてください。介護予防は、身近な人が早めに気がつき、介護にならないように予防することが大切です。

私たちが生きていく上で必要なことは「食べる」ことです。食べるためには、口もとの健康が欠かせません。もちろん栄養だけ摂れば良いのであれば、口は必要ないかもしれませんが、おいしいものを食べる!というのも人生の楽しみの1つではないでしょうか。

おいしいものを食べ今後の長い人生を豊かに過ごすためにも、歯だけではない口周りの健康についても実践してみてください。

 

次回の健口サプリで最終回になります。『口もとの健康と全身の健康』についてお知らせします。

 


内田佳代(うちだ かよ) 歯科衛生士・表情筋トレーナー
東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒
早稲田大学大学院創造理工学研究科修了 経営工学修士
「噛むこと」を意識させる、歯科衛生士ならではの表情筋エクササイズ、口元からの美を提案し、全国各地で講演・セミナー開催。ミスユニバース地方大会セミナー担当。NHK「きれいの魔法」など美容番組・雑誌等へ多数出演。ぶんか社「ガム小顔ダイエット」監修。表情筋エクササイズDVD「笑顔づくり編」「スッキリ小顔編」も好評。