皆さん、こんにちは。歯科衛生士/抗加齢指導士の内田佳代です。
とうとうこのコラムも最終回になりました。前回の噛む噛むアンチエイジング#11では、お悩み別エクササイズを紹介いたしました。
さて、アンチエイジングのための美容法はネット・テレビなど、巷にたくさんあふれています。特に顔のエクササイズは、少し前からちょっとしたブームになっており、トレーニング方法やトレーニング器具まで出ています。顔のトレーニング方法が巷で溢れている理由には、美容に興味がある方が増えたというのも1つだと思いますが、あまり噛まない人が増えた、コミュニケーションの際に顔を動かさない人が増えたというのも理由の1つだと私は考えています。
また、ここ3年に限って言えば、コロナでマスク生活にもなりマスクで顔の半分を「人に見られない」ことで、口元をあまり動かさないことも影響しているでしょう。毎日エクササイズを頑張って行ったとしても、食事は飲み込むように短時間でかきこみ、あまり人と会話をしない、顔の表情を動かさないのでは、意味がないと思っています。
逆に、しっかりと3度の食事の際に咀嚼をし、人と適度に会話をしていたら、顔の筋肉は十分動かせるはずなので、わざわざ表情筋エクササイズを行う必要はありません。そして、色々な方が顔のエクササイズ方法などSNSをはじめとする媒体で紹介していますが、きちんとした解剖学の見地から書かれたものは少なく感じ、医学的にみたら少し違うのではないか?というものも見られます。
ネットでは、色々な健康情報や美容情報が散らばっています。そして、中には怪しいものも含まれます。あれもこれもとむやみに手を出すのではなく、ぜひみなさんには根拠に基づいたものを実践するようにしてほしいと思います。
一例ですが、小顔矯正やヘッドマッサージで顔が小さくなる!などとうたったものがありますが、医学的には成人の頭蓋骨は動きません。マッサージをすることで、一時的にむくみが取れ小顔になるかもしれませんが、それは「一時的」なものです。特に小顔矯正は、消費者庁も注意喚起していますので、健康被害がないからといって、無駄にお金を払うことのないように気をつけてくださいね!
顔の老化のメカニズムをきちんと知った上で、自分の生活スタイルの中でできることから上手に取り入れていくことをお勧めします。
よく「いつまで続けたらいいのですか?」という質問をもらいますが、生きている間、加齢は皆平等にやってきます。残念ながら、人間の体は何もしないでそのままキープできるようにはできていません。ただ、加齢と老化は別です。老化現象は、もちろん誰にでもやってきますが、生活習慣などにより老化のスピードは人によって異なります。誰だってその老化のスピードを、なるべく遅くしたいですよね。老化のスピードを遅くするためには、継続してエクササイズを行う必要があります。
噛む噛むアンチエイジングでは、タイトル通り「噛むこと」をメインにお伝えしました。
噛むためには、健康な歯が必要です。みなさんは定期的に歯のメンテナンスに行っていますか?昔は1年に1回、半年に1回の定期検診と言われていましたが、今はその人の口の中のリスクに応じた期間で来院してもらうことが推奨されており、3ヶ月に1度のメンテナンスが一般的です。綺麗の土台は、しっかり噛める歯です。何か心配事があったら、ぜひかかりつけの歯医者さんに相談してください。
YouTubeやネットの記事には、色々な情報があふれています。しかし、口の中の状態は、人によって歯並びや歯や詰め物や歯ぐきの状態、生活習慣やリスクなどもさまざまです。その情報に振り回されても、ネットやYouTuberは責任をとってくれません。あなたの味方は、かかりつけの歯科医院(担当の歯科衛生士)です。
コラムを読んでやった気になっただけでは、何も変わりませんので、無理なくご自身で続けられる方法を見つけてください。食事の内容を見直すなど、たった1つの行動を変えるだけでも構いません。無理なことをしようとしても、結局続きません。
継続は力なり。日々の積み重ねが未来のあなたの顔を作ります。美しさは「習慣」で作られます。
コラムを読んで、自分らしい美しさを保つためには、どうしたらいいのか。今一度じっくり考えてみるといいのではないかと思います。自分で考える美しさを手に入れ、みなさんが自信を持って笑顔でいられることが私の願いです。
12回に渡り、読んでいただきありがとうございました!
内田佳代(うちだ かよ) 歯科衛生士・日本抗加齢医学会認定 抗加齢指導士
東京医科歯科大学歯学部附属歯科衛生士学校卒
早稲田大学大学院創造理工学研究科修了 経営工学修士
「噛むこと」を意識させる、